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Hegel, Today!


目 次

はじめに

●ヘーゲル哲学は、不合理で無意味な形而上学?

1. The still uninherited legacy from Hegel  1999. 10. 06.

●ヘーゲル哲学を理解するための3局面(段階)

2. The three aspects of Hegelianism  1999. 10. 09.

●予期せざるエピソード

3. Sorry, I sent a draft by mistake.  1999. 10. 10.

●第1局面:「精神」による一元論

4. The three aspects (1)  1999. 10. 14.

5. The three aspects (2)  1999. 10. 21.

●第2局面:物に対する関係の第一次性

 ・廣松渉氏の提唱した「関係の第一次性とは?

6. The three aspects (3)  1999. 10. 27.

 ・「精神」の性質を調べるために、言語に着目。

7. The three aspects (4)  1999. 11. 05.

8. The three aspects (5)  1999. 11. 19.

 ・構造主義言語学の「差異の体系」と、ヘーゲルの「観念論」。

9. The three aspects (6)  1999. 12. 03.

 ・女豹からの一撃

10. Re: The three aspects (6)  1999. 12. 04.

 ・科学的帰納法が内在させる「論点先取の誤謬」

11. Re: language, totality, correspondence  1999. 12. 09.

 ・誤解を解くための返信

12. Re: language, totality, correspondence  1999. 12. 16.

  ・ハイデッガーの「として−構造」と、廣松の「以上の物」のイデア性。

13. The three aspects (7)  2000. 01. 07.

  「ある者(として)」のイデア性

14.  The three aspects (8)  2000. 01. 15.

  ・廣松認識論の「四肢構造」

15. The three aspects (9)  2000. 01. 24.

16. The three aspects (10)  2000. 02. 01.

●「前−人称的」世界

  ・廣松のコギト(我思う)批判

17. The three aspects (11)  2000. 02. 14.

  ・サルトルの「非反省的(非定立的)自己意識」への批判

18. The three aspects (12)  2000. 02. 26.

19. The three aspects (13)  2000. 03. 08.

●第3局面:メタ世界の創造

  20. The three aspects (14)  2000. 03. 27.

  ・「弁証法的運動」の過程を、「メタ世界」を創出する「メタ化」と捉える。

21. The three aspects (15)  2000. 04. 10.

  ・青年ヘーゲルとフィヒテの「自我=自我」

22. The three aspects (16)  2000. 04. 20.

 ・「メタ世界」とは?

23. The three aspects (17)  2000. 05. 01.

24. The three aspects (18)  2000. 05. 11.

 ・「矛盾」について―『差異』論文の時点

25. The three aspects (19)  2000. 06. 28.

・「関係」論、再説

26. The three aspects (20)  2000. 07. 10.

・「矛盾」について―『信仰と知』論文の時点

27. The three aspects (21)  2000. 09. 25.

28. The three aspects (22)  2000. 09. 25.

29. The three aspects (23)  2000. 10. 13.

・ヘルダーリンのヘーゲルへの影響

30. Re: Hegel & Hölderlin  2000. 12. 09.

31. Re: Hegel & Hölderlin  2000. 12. 15.

32. Re: Hegel & Hölderlin  2000. 12. 20.

・『精神の現象学』の序文と緒論

33. The three aspects (24)  2001. 06. 24.

・『イエーナ期の体系草稿 II』(1804/5年)での「存在」概念

34. The three aspects (25)  2001. 06. 28.

・『イエーナ期の体系草稿 I』(1803年)での言語論

35. Hegel as a forerunner of structuralism (1)  2001. 07. 1.

36. Hegel as a forerunner of structuralism (2)  2001. 07. 4.

37. Hegel as a forerunner of structuralism (3)  2001. 07. 10.

38. Hegel as a forerunner of structuralism (3)  2001. 07. 18.

 


はじめに

 思えば拙宅のオーディオ・システムを、小ぶりとはいえブリティッシュ・サウンドにまとめ上げ、あとは発電所のモーターを英国製に変える以外にはないと考えるにいたったころ、インターネットとやらがはやりだしたのでした。流行には目のない私、飛びついたのは言うまでもありません。カローラ、マークII、そしてクラウンといった輩を唾棄すべき畜生とみなし、免許証なども持たない私が(あっ、今ではスズキの軽に乗っています)インターネットをやらずして誰がやると、さような感じでした。

 まずホームページを作ったのは定跡どおりですが、問題はE-メイルです。無料ソフトであるインターネット・エクスプローラーの、そのまたおまけソフトで打って、はたして地球の裏側まで無事届くのであろうか――不安にかられるのでした。
 実験対象に選ばせていただいたのは、
J. ナイ氏です。はい、90年代アメリカの東アジア政策の基本ラインを策定し、早い話が、日本国首相よりも日本の運命に影響を与えた方です。ある日、氏の投稿記事が日経新聞に載っていました。少し意見を異にする個所がありましたので、感想を送ってみたのです。むろん、面識などあるはずもないのですが、それがサンプルとしてはまたよろしいのではないかと。あて先は、氏が現在はハーバード大学の学部長をしていると分かっていましたので、同大学のホームページから堂々とたどって行き、知りました。
 すると、なんと
22時間49分後に返信が来たのです。(別に時計とにらめっこしていたわけではなく、自動的に記録される送受信日時の差をとっただけです。) 誠実で仕事の速いというか、事務処理の敏速な人であると申せましょう。引用として添えられた私の文面は文字化けが記号の部分でありましたが(氏の大学で使っているソフトがウィンドーズ以外のものであるとか、いろいろな理由が考えられます)、氏の本文は無傷です。E-メイルは「使える!――頭にピンと来るものがありました。

(ふと思ったのですが、「ノーと言える日本」もよろしいのですが、成立してしまった向こうの方針に反対するよりも、影響力のある個人や団体が意見形成しているときに、その形成に加わっていくというのが、本道ではないでしょうか。)

 今度は、漢字の使用を試してみたくなります。対象はこれも面識のない東南アジア研究の日本人某氏。氏の好著の中に、事実誤認とまではいかない程度の瑕瑾があるように思えたので、Britannica(マルチメディア版英語CD15000円ですよ、15万円ではなく)の記事を添えて送信。宛先は、例の如く大学のホームページから入手。23時間4分後に丁重な返信があり、文字化けは皆無でした。ただし、氏はE-メイルを使い慣れていないせいか、段落分けもレイアウトもない文面には、少し閉口しました。
 しかしまあ、良心的学者の方々の丁重な応対には、頭の下がる思いでありました。私なら、「おや、ワタシが書いたものにイチャモンですか」と
3日は放っておきたいところです。もっとも、いかにE-メイルは簡潔を良しとするといっても、そこはそれ、私も一応ていねいなものを出しはしました。「御論考を拝読させていただき、無量の感服を覚えつかまつり候。されど愚考いたしまするに・・・」と書いたのであって、いつもの調子で「キミのゆうとること、当たってないんとちゃうか。ほら、ここや、ボケ、よう見んかい」などとはやってません。

 試運転は終わったところで、いよいよメーリング・リスト(半ば公開の意見・情報交換のサークル)へ登録する段とはなりました。できたら経済関係のものにして、日本経済の閉塞状況を剔抉(てっけつ)し、加うるに新ミレニアム世界経済の動向を予断、そしておいしい話を仕入れることができるのであれば、そのグループにもぐり込み――と私も考えたのでしたが、いまだにサミュエルソンの「経済学」を読了していないレベルですので断念。

(ところで、デイ・トレーダーだとか何とかと浮かれている若き諸君、老婆心で言うのですが、一番大切な知識、「効率的市場の理論 efficient-market theory」は、ご存知でしょうか。まだであれば、上掲の「経済学」(1998年出版の sixteenth edition では、486-489ページ)を熟読玩味して下さい。といっても、この理論に頼って、展望なき業界で、自分の退職金計算しか関心のないような経営者をもった企業(武士の情けで、具体名は控えさせていただく)を底値で(だと思って)買うようなまねもいけないのです。そもそもギャンブルなるものは、楽しんだり悲しんだりするのがお客、儲けるのは胴元と本質的に古今東西なっているんですから。――今では私も、冷静に真理を語りえる境地へと達したのです。)

 そこで、いまや渋いというよりはマイナーな「哲学」、その中でも地味なヘーゲルにしました。加入したのはメーリング・リストとしては大手の“Georg Wilhelm Friedrich Hegel Discussion Group”で、メンバーは300人くらい。ところが、加わったそうそう、「このリストはマルキストに乗っ取られてしまった!」と叫びながら消えていった大学助教授がいたのには、いささか驚きました。何でも、大学の教師のくせにマルクスを哲学者として認めないのはけしからんというわけで、集中砲火を浴びせられたようなのです。これは、怖いオニーサン、オネーサンのとこに来てしまったのかなと、後悔したのですが、他にヘーゲル関係は見当たりません。また、故 廣松渉氏の思想を紹介したいとの思いもあったので、マルクスを知らないのよりは、知ってる人たちとの方がコミュニケーションをとりやすいのではないかと(そうならないこともヨークあるわけですが)、とりあえずは草鞋をぬいだのであります。

 メール原文――というほどのモンでもないんですけど――の気づいた誤字・悪文は訂正しました。また、各件名(タイトル)も冗長な部分をカット。登場していただいた個人のお名前は、記号化させていただきました。メールの最後の名前とE-mailアドレスなども、煩雑なので削除しました。


ご意見・ご感想をお待ちしています。E-mail : takin@be.to


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