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7.『血液型と性格ハンドブック』(1981年)から

(1) 戦後首相の血液型分布(22-23ページ)

 「各専門分野での血液型分布率調査は、これまで、私や、その他の人々が実施してきた大量のアンケート調査、そして、長年、多くの人々によって観察されてきた血液型の特色を裏づけ、また、時には新しい発見をもたらして来ました。それを、この政治・行政の分野からも引き出してみましょう」。
 そして、次の表が示される。

<戦後の首相の血液型分布

鈴木善幸氏まで。15人中3名が不明。

首相名

血液型

首相名

血液型

東久邇稔彦

未調査

池田勇人

O型

幣原喜重郎

未調査

佐藤栄作

A型

吉田茂

O型

田中角栄

B型

片山哲

O型

三木武夫

A型

芦田均

未調査

福田赳夫

O型

鳩山一郎

A型

大平正芳

O型

石橋湛山

O型

鈴木善幸

O型

岸信介

O型

 血液型別にまとめると、次の表のようになる。

O型(人)

A型(人)

B型(人)

AB型(人)

不明(人)

合計(人)

首相経験者

8

3

1

0

3

15

●能見氏の考察
 「血液型のわかった12名のうち、じつに8名がO型とは驚き呆(あき)れるほかありません。……AB型が一人もいないのも目をひきます。じつは保守系政党の派閥リーダーを調べても、AB型は、まだ見当りません。これは明らかに、同じ政治家としてもO型とAB型では、その資質が違うことを物語ります。政治力を求め、力の結集の中心に座りやすいO型と、調整調和型のAB型性の違いは明らかです。……これは日本の政界であることをお断りしておきます」。
★吉田茂以前の2名は、戦後民主主義のなかで自発的に政権獲得を目指したわけではないので、考慮に入れないとすると、血液型不明者は1名となり、大勢に影響はないであろう。なかには「はからずも」首相になってしまった、などと述懐してみせる人もいたが、その人なりに最短距離を計算して、鋭意努力していたことは疑いない。
 とびぬけてO型が多いので、二項分布によって調べると、12人中 8人以上となる危険率は 0.8%である。(O型の日本人平均を29%とした場合。30.7%とすれば、1.1%)。
 AB型の少なさを、二項分布を用いて調べると、0人となる危険率は 28%で、有意差はない。(AB型の日本人平均を 10%とした場合。9.4%とすれば、31%)。
 AB型はおくとしても、O型についての能見氏の分析は、納得できよう。


(2) 紅白出場歌手(昭和 45年、50年)の血液型分布の変遷(42-44ページ)

 「時代と共に変貌するのは、漫才だけとは限りません。最近、私〔能見氏〕が指摘するものの一つに、NHK紅白歌合戦の出場歌手の血液型の変遷があります。昭和 46、47年ぐらいの〔1971, 1972年〕出場歌手は、常にO型が男女共に最多数で、女性歌手にいたっては半数近くがO型だったのです。それが大体、昭和 48年度〔1973年〕を境として、がらりと変わってしまいました。A型が男女を通じて圧倒的な多数になり、O型が、見違えるくらい少数派となったのです」。
 そして、(表1)と(表2)が示される。

(表1)<紅白出場歌手の血液型分布の変化>

昭和 47年まで

昭和 48年以後 55年まで

O型

37.0 %

16.0 %

A型

33.3 %

48.0 %

B型

15.8 %

22.0 %

AB型

13.9 %

14.0 %

合計

100.0 %

100.0 %

(表2)<昭和 45(1970)年 紅白出場歌手リスト>

出場歌手

出場歌手

出場歌手

O型 15人

A型 11人

B型 7人

いしだあゆみ

アイジョージ

小川知子

北島三郎

青江三奈

菅原洋一

西郷輝彦

坂本九

西田佐知子

佐川満男

島倉千代子

フランク永井

佐良直美

にしきのあきら

美川憲一

水前寺清子

橋幸夫

三波春夫

千昌男

弘田三枝子

森山良子

野村真樹

ピンキー キラーズ

ヒデとロザンナ

藤圭子

AB型 5人

日吉ミミ

布施明

伊藤ゆかり

辺見マリ

由紀さおり

舟木一夫

黛ジュン

都はるみ

美空ひばり

村田英雄

森進一

森山加代子

和田アキコ

 (B型は6人となっていたが、7人の誤りであろう。表の体裁は変更した)。

(表3)<昭和 55(1980)年 紅白出場歌手リスト>

出場歌手

出場歌手

出場歌手

O型 6人

A型 21人

AB型 3人

岩崎良美

青江三奈

小林幸子

北島三郎

石野真子

都はるみ

桜田淳子

石川さゆり

村田英雄

水前寺清子

五木ひろし

千昌夫

太田裕美

森進一

加山雄三

研ナオコ

B型 9人

郷ひろみ

五和真弓

小柳ルミ子

岩崎宏美

さだまさし

金沢明子

沢田研二

榊原郁恵

島倉千代子

菅原洋一

ジュディ・オング

田原俊彦

高田みづえ

フランク永井

新沼謙治

三波春夫

野口五郎

八代亜紀

布施明

細川たかし

松田聖子

森昌子

八神純子

 (都はるみは、誤ってB型にも入っていたが、訂正した。西城秀樹は、本文において「不明」とされていたので、AB型欄から削除した。また、表の体裁は変更した)。

●能見氏の考察
 「この原因もいろいろ考えられますが、気がつくのは、この 48年度〔1973年〕は、A型の山口百恵、森昌子、O型の桜田淳子と三人の少女歌手が、男性ではA型の郷ひろみ、野口五郎、それに西城秀樹(最近、本人、血液型不明〔原文〕)の三人のヤングが、華々しくデビューした時期です。それをきっかけとするように、若いアイドルスターの全盛期を迎え、ファン層の年齢も見る見る低下し、少年少女が中心となってきました。歌唱力よりもフィーリングが、歌手の人気を決定するようになったともいえます」。
 「フィーリングが人気を集めるのは、まず、A型、AB型、B型、O型の順序です。歌の世界も、こうした社会の風潮に押し流されたといえます」。
★(表1)のように、血液型判明者の実人数(人)が記されていず、パーセント数だけだと、比較のしようがない。そこで、(表2)の2つの表を用いて、「分割表による一様性の検定」を行なう。
 昭和 45年の紅白には、合計 48名(組)が出場している(*1) そのうち、血液型の不明者は6名(組)、判明しているグループ・シンガーは4組あった(*2) それらを付け加えて表にしてみる。

(表4)<昭和 45年1970年、第21回)出場歌手の血液型分布

血液型

血液型判明者(人)

グループ・シンガー(組)

不明者(人)

O型

15

3

A型

11

1

B型

7

0

AB型

5

0

合計

38

4

6

 昭和 55年の紅白については、どうであろうか。合計 46名(組)が出場し、そのうち、血液型の不明者(組)は6名、判明しているグループ・シンガーが1組であった。(*3) それらを付加して表にしてみる。

(表5)<昭和 55年1980年、第31回)出場歌手の血液型分布

血液型

血液型判明者(人)

グループ・シンガー(組)

不明者(人)

O型

6

1

A型

21

0

B型

9

0

AB型

3

0

合計

39

1

6

 (表4)と(表5)より、実際の人数をまとめる。

(i) グループ・シンガーを入れない場合。

(表6)<実際の出場者数>

実測値

O型(人)

A型(人)

B型(人)

AB型(人)

合計

昭和 45(1970)年

15

11

7

5

38

昭和 55(1980)年

6

21

9

3

39

合 計

21

32

16

8

77

 (表6)より、期待値をだす。

(表7)<期待値>

期待値

O型(人)

A型(人)

B型(人)

AB型(人)

合計

昭和 45(1970)年

10.4

15.8

7.9

3.9

38.0

昭和 55(1980)年

10.6

16.2

8.1

4.1

39.0

 (表6)と(表7)で「「分割表による一様性の検定」をすると、危険率 5.2%で有意差がある。
 「調整化残差の吟味」をして、どの血液型の増減によって有意差が出たのかを確認しよう。
 まず、標準化残差をだす。

標準化残差

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

1.44

-1.21

-0.32

0.53

昭和 55(1980)年

-1.42

1.19

0.31

-0.52

 次に、その分散を計算する。

分 散

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

0.37

0.30

0.40

0.45

昭和 55(1980)年

0.36

0.29

0.39

0.44

 そして、調整化残差を求める。

調整化残差

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

2.37

-2.22

-0.50

0.79

昭和 55(1980)年

-2.37

2.22

0.50

-0.79

 絶対値が 1.64より大きい項目(危険率 10%)が、O型とA型の列に見られるので、その2つの血液型では、2つの年の紅白出場者の血液型分布率には、偶然以上の違いがある(有意差がある)と、推定できる。

(ii) グループ・シンガーを入れた場合。

(表6)<実際の出場者数>

実測値

O型(人)

A型(人)

B型(人)

AB型(人)

合計

昭和 45(1970)年

18

12

7

5

38

昭和 55(1980)年

7

21

9

3

39

合 計

25

33

16

8

77

 (表6)より、期待値をだす。

(表7)<期待値>

期待値

O型(人)

A型(人)

B型(人)

AB型(人)

合計

昭和 45(1970)年

12.8

16.9

8.2

4.1

38.0

昭和 55(1980)年

12.2

16.1

7.8

3.9

39.0

 (表6)と(表7)で「「分割表による一様性の検定」をすると、危険率 4.6%で有意差がある。
 「調整化残差の吟味」をして、どの血液型の増減によって有意差が出たのかを確認しよう。
 まず、標準化残差をだす。

標準化残差

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

1.45

-1.19

-0.42

0.45

昭和 55(1980)年

-1.49

1.22

0.43

-0.46

 次に、その分散を計算する。

分 散

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

0.34

0.29

0.39

0.44

昭和 55(1980)年

0.36

0.31

0.41

0.46

 そして、調整化残差を求める。

調整化残差

O型

A型

B型

AB型

昭和 45(1970)年

2.49

-2.21

-0.67

0.67

昭和 55(1980)年

-2.49

2.21

0.67

-0.67

 絶対値が 1.64より大きい項目(危険率 10%)が、O型とA型の列に見られるので、その2つの血液型では、2つの年の紅白出場者の血液型分布率には、偶然以上の違いがある(有意差がある)と、推定できる。

 以上、(i)と(ii)より、能見氏の言うように、10年のあいだには歌手も「時代と共に変貌」したのであった。

 --------------------------

(*1) 出場者名の確認は、「Yeemar's Home Page」http://www.asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/kohaku.htm によった。(戻る)

(*2) 6名の不明者は以下のとおり。

奥村チヨ

ザ・ピーナッツ

ちあきなおみ

鶴岡雅義と東京ロマンチカ

トワ・エ・モア

水原弘

 4組のグループ・シンガーついての血液型は『血液型エッセンス』222-223ページ記載によった。血液型はグループ・シンガー名に代表者の名前が付いているときはその代表者で、ついていないときは、グループ構成員のうち、名前が「あいうえお順」で先頭にくる構成員で代表させた。

内山田洋とクール・ファイブ

ダーク・ダックス

デューク・エイセス

フォー・リーブス

(戻る)

(*3) 「内山田洋とクール・ファイブ」については、(*2)のように、O型とした。以下の 5名と「西城秀樹」については、血液型が分からなかった。

海援隊

クリスタルキング

ゴダイゴ/ボートピア

もんた&ブラザーズ

ロス・インディオス&シルヴィア

(戻る)


(3) 東大工学部での異学科の調査例(197ページ)

 「専門学科と血液型分布の偏りには、時に意外なデータが飛び出します」――ということで、次の表が示される。

(表1)<東大工学部2学科の血液型分布

(1981年卒業生を調査。卒業生の一人、K氏の報告による)。

O型(%)

A型(%)

B型(%)

AB型(%)

判明数(人)

危険率

金属工学科

42.3%

23.1%

11.5%

23.1%

26

< 3%

金属材料学科

6.7%

43.3%

40.0%

10.0%

30

< 2%

日本人平均

30.9%

38.1%

21.8%

9.4%

  (表の体裁は変更した)。

●能見氏の考察
 「相似た専門学科に驚くべき対照性が現れている」。
 「金属工学科は大体に大企業に就職しやすいコース、金属材料学科は研究生活者となりやすいコースと聞きます。恐らくこれは社会的意欲派(野心家に近い)の多いO型とAB型、社会的無欲派(A型は天職派、B型は興味追求派)の目立つA型とBがたの鮮やかに選別された“棲みわけ”と思います」。
★データとして使われた人数は、全員の人数ではなく、「判明数」であって、しかも、全員の人数が記されていないのは残念。きびしく言えば、データとしては使えない。しかし、「このようなデータが広く専門分野にわたって集められれば、血液型別の適性の研究も、大きく進展することが期待される」ので、そうした呼び水とはなりえよう。
 なお、氏は「驚くべき対照性」と書いたあとで、「有意差検定計算の結果も、十分の有意さを示し、偶然の要素は、ほとんどありません」と続けているが、これは、197ページの表中にある「金属工学科 危険率P<3%」や、金属材料学科 危険率P<2%」を指すようである。しかし、この計算はおかしい。
 おそらく、まず下の
(表2)のような実際の人数と、各血液型の日本人平均率「O型 30.9%、A型 38.1%……」を使ってだした両学科の期待値を、それぞれカイ2乗検定したと思われる(そうすると結果は、2.8%と 1.5%)。しかしそれでは、両学科どうしを比較したことには、当然のことながらならない。こういう場合は、「分割表による一様性の検定」が必要だといえよう。

 上の表(1)では、各血液型の人数がパーセントで表されている。それを、度数(人)に計算しなおすと、(表2)となる。

(表2)

実際の人数

O型人数

A型人数

B型人数

AB型人数

合計

金属工学科

11

6

3

6

26

金属材料学科

2

13

12

3

30

合計

13

19

15

9

56

 (表2)より、各血液型の期待度数を計算したのが、(表3)である。

(表3)

期待度数

O型人数

A型人数

B型人数

AB型人数

合計

金属工学科

6.0

8.8

7.0

4.2

26

金属材料学科

7.0

10.2

8.0

4.8

30

 (表2)と(表3)で、分割表による一様性の検定を行なってみる。(表2)には、5未満の度数が 3つもあり、かなり怖いのではあったが、カイ2乗検定を使った。
 結果は、危険率 0.2%。血液型による有意差がある(?)。


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