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景の画家: <奥村さんの世界>   - ご紹介します -

(付記.奥村さんは、1999年香川県の展覧会洋画部門で香川県知事賞を受賞なさいました。謹んでお喜び申し上げます。)


 晩春の昼下がり、買いもの帰りにコーヒーでもと、ある喫茶店に立ち寄りました。と、そこでは水彩画の個展が開かれていたのです。何々、「淡彩みずゑ展(香川の四季を描く)」ですと、どれどれ . . .

  どの絵も、神経のいきとどいた画面に、色彩が生きています。これはすごいと感じ入ったのですが、店内には作者の奥村さんが偶然いらっしゃいました。こういうのを邂逅というのでしょうか、話しかけてみました。すると、年下で圭角の多い私などにも、ていねいに応対なさいます。なかなかの人物と、お見うけしました。

  そこで、厚かましくも拙ホームページにご登場を、お願いしたわけです。特に若い人たちに、氏の絵を見ていただきたいと思います。氏の絵には、ハッタリやまやかしがありません。見ていいなと感じたところは、色であれ形であれ、本物のよさをつかんだことになります。

  ただ、「彫刻を観る楽しみ」(第1回)にも書きましたが、絵の良さは複製ではなかなか分かりません。まして、パソコンの画面上では、微妙な色彩や構成の再現は無理です。しかし、作者の目指しているところの片鱗でも、伝わればと思います。なお、掲載した絵の写真は、奥村さんの提供されたものです。記して感謝にかえたいと思います。


   (a1) <春の野辺(わに川神社参道より)>写真をクリックして下さい。

  水彩画は、作者のもつ叙情を表現するのに適していますが、その特徴がよく活かされています。

手前の田んぼの色の濃淡は、まさに絶品といえます。

右上方にガラスの映り込みがありますが、実際の作品鑑賞の際にもガラスカバーはあるのですから、それぐらいのことを気にしてはいけません。

 


   (b1) <雨の商店街(白鳥神社前)>

  小品ですが、描きこまれた中央の建物群と、簡略化された右側の壁の対比が面白いところです。

  自宅のたとえば応接間に、絵をかけたいと思っても、悩まれる方が多いのではないでしょうか。デパートでみる高価な油絵でも、いいものにはなかなかお目にかかりません。現代版画ですと、値段的にはお手頃になりますが、趣味のよいものはこれまた稀ときています。戦前の書あたりがいいのかも知れませんが、書道を習っている人は別にして、まず私たちには鑑賞する力がありません。

  そうしてみると、奥村さんの絵は最適でしょうか。心を洗われるようなさわやかさがあり、技術も確かですから飽きがきません。色彩豊ですので、来客の方も喜んでもらえると思います。(これが、浦上玉堂の一部の作品のように墨一色ですと、いかにロマンの絵とはいえ、自分だけ、あるいは特定の人とだけで観ることになってしまいます。)


   (c1) <女木島の初夏>

  悠然とした趣のある作品です。右側の山腹も単調なようでいて、滋味きくすべきものがあり、木立の間を散歩したくなります。

  構図・色彩には細心の注意が . . 、えっ、ピカソやマチスなら、こういう場合どう描いたかって? それは乱暴な質問だけど、まあ、高校生なら仕方ないですか。では、こちらも乱暴に答えましょう。

  彼らの絵の構図には、観る人をして「これを絵にするのか」と言わしめるところがあります。初心者のようなダサイ構図を巧みにまとめ上げてしまいます。ピカソの場合など、「どうですか?」という声まで聞こえてくるようで、こちらとしては、「恐れ入りました」としか言いようがありません。逆にいうと、そこがまた魅力なわけですが、こういうことを始めたのはマネあたりではないかと、私などは推測しています。

  そこでさっきの質問ですが、「彼らだと、電信柱を画面の真ん中にドドーンと持ってくる」・・・漫画のような答えになってしまいました。しかし、この(c1)の絵のように、すべてが所をえて存在しているように見えるのも、好ましいではありませんか。

 


   (d1) <牧舎のある山容>

  骨格をもった力強い山容が表されています。「冬の方が、絵は暖かくなります(茶色系統の色が増えるので)」と奥村さんは言います。

やはり、絵画には「故郷の風景画」というジャンルが不可欠だと、しみじみ思われます。

  鉄斎、シャガールなどは、80才を越えて画業を大成させています。氏のますますのご発展を祈る次第です。

 


奥村 正豊さんへの連絡は: 電話: 0878-33-6441

 住所: 〒761 香川県高松市木太町六区 2473-7  TOP

(1997. 08. 15)


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